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LUPIN(ルパン)

久しぶりにゆっくりとした時間が過ごせたので、「LUPIN」を一気見。といっても3世の方ではありません。「最強のふたり」で脚光を浴びたオマール・シー主演のネットフリックスオリジナルのクライムドラマ。これ、何気なく見始めてラストまで駆け抜けるくらいには面白い。前情報ない方が楽しめるので貼ってある動画もあえて英語字幕のパート1を貼っておきました。どこか「ルパン3世」にも通ずる、ピンチのときこそ余裕をカマすルパンイズムがしっかりと描かれていて、フランス文学が生んだ怪盗紳士アルセーヌ・ルパンの偉大さと、ルパンがフランスでどれほど愛されている存在かがわかる作品である。この作品のすごいところは、フランスだけでなく世界中でヒットしていること。シーズン3も放映決定しているほど一気に人気シリーズになったわけですが、古典の焼き増しなどでは決してなく、現代的なユーモアを織り交ぜつつ、クライムエンターテイメントとしての完成度が高いことが一因かなと思います。「オーシャンズ」とか、「スナッチ」とか好きな人ならハマるはず。オマール・シーがバブアーやフレッドペリーといった、クラシカルなアイテムにジョーダン1を合わせるフレンチストリートなファッションスタイルの着こなしも見どころ。めちゃくちゃおすすめ。

DON'T LOOK UP(ドント・ルック・アップ)

2021年は劇場に映画をあまり観に行けなかったけど、年間ベストはこれでした。レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、ジェニファー・ローレンス、ケイト・ブランシェットにメリル・ストリープ、ハリウッド全部載せみたいなキャスティングでお送りするスペクタクルコメディ巨篇。ただ出演者が豪華というだけではない。この豪華すぎるキャスティングもそのまま内容にも効いているようなシナリオがとにかく素晴らしい。「隕石が地球に衝突する」というこすられすぎて穴あきパッチワークだらけのほこりかぶった設定を、ここまで斬新かつ効果的に活かした監督・脚本のアダム・マッケイ、天晴れ。ジョージ・ブッシュ政権下の副大統領を描いた「バイス」やサブプライム住宅ローン危機をテーマにした「マネーショート〜華麗なる大逆転〜」など、社会の歪みを面白おかしくシニカルに描くのが得意な監督なのだけど、今回もばっちりでした。ただ面白かった、というより、今の社会や政治に対して既視感があることばかりで日本だけでなく世界中、こんな感じだよね。というもはや諦めの境地というか、こんなコメディ映画みたいなことが現実でも起きているよな。とつくづく思う作品です。リアル世界だと笑えないんだけど、自分の大切と思う人たちを、当たり前に大切にしたいね。キッド・クディとアリアナ・グランデにも注目。劇中のパフォーマンスがオフィシャル動画として上がっています。

ハイパーインフレーション

ハイパーインフレーションとはきわめて短期間で物価が急激に高騰する激しいインフレのこと。ジンバブエとか、ベネズエラなんかは実際にこういったインフレが起きていて札束がゴミ同然なんて言われてたりするわけですがジャンプ+で連載中の『ハイパーインフレーション』も、このお金、お札にまつわる冒険譚。キワモノと思うことなかれ、王道の冒険バトル漫画となっている。奴隷として帝国に姉を連れ去られてしまったガブール人の少年・ルークは生殖能力と引き換えにお金を無限に出せるようになる(いろいろ能力の制限や条件はあるのだが)。その特殊な能力を使って「世界を買ってやる」と、姉の奪還とリベンジを誓いながら、奴隷商人、獣人、帝国幹部、殺し屋、偽札職人などと熾烈な頭脳戦を繰り広げていく。基本的には会話劇で物語が展開されるのだが、セリフ回しのセンスは秀逸。パロディもふんだんに散りばめられていて楽しませてくれる。この見たこともない異能能力バトル、回を追うごとに面白くなっているので今からぜひチェックしてほしい。ちなみに「次に来るマンガ大賞2021」で6位、宝島社「このマンガがすごい 2022」オトコ編 11位(1位は『ファイアパンチ』『チェンソーマン』の 藤本タツキ『ルックバック』)とメディアも注目している。絶妙な位置にいるのもこの漫画らしくて魅力的。

「ルパン三世 PART6」EPISODE 0 -時代-

変わりゆく時代の中で、次元という男は変わらないさらば次元。今季の個人的な注目アニメの一つ「ルパン三世 PART 6」。その初回放送「EPISODE 0 -時代-」が先ほど(10月9日深夜)に放送された。「ルパン三世 PART 6」はルパンシリーズTVアニメ放送50周年を記念し、制作されたメモリアルなシリーズとなる。そしてその第一回放送はただの“第一話”ではないのだ。この放送回を機にアニメ放送当時から次元大介役を50年間(!)演じ続けてきた声優・小林清志さんが次元役を降板した。生まれた時から次元の声はずっと小林清志さんの次元である。そんな小林清志さん次元の最終回となる放送では、次元大介を大フィーチャー。ルパンと次元の信頼関係がルパンシリーズらしい軽妙なタッチで描かれた。作中、銭形は言う「お前ほどの男が、なぜルパンと一緒にいるんだ?」ラスト直前にも、油断する部下を前に、次元を侮るなと釘を刺し、「次元大輔とはそういう男だ」と言い放つ。ライバルである銭形も次元の影の立役者としての実力を認めていたのだ。さらに、珍しく不二子との2ショットも。「ルパンにこれほど長く付いているのはあなたくらいのものよ」と、次元の実力を認め、パートナーにならないかと持ちかける。「イイ女なのは認めるが、それは天地がひっくり返ってもありえねえ」と笑う。「あなたにそんな風に言ってもらえるなんて天地がひっくり返ったかもね。あなたと飲むお酒もたまにはイイわね」不二子はシャンパンを傾けながら、次元にそう告げた。もちろんビジネスとしての話であって男女の話ではないのだが、二人らしい大人な雰囲気漂う絶妙な掛け合いを見せてくれた。また、ルパンは五右ェ門との押し問答の中で、「次元だけは変わらずに受け入れ続けてくれた」と普段口にしない感謝の言葉を口にした。そしてルパンとのラストシーン、「上等な酒を一緒に飲もう」と口約束した次元を労い、「あんまり無茶するなよ」と不敵に笑えば、次元も「お前こそ抜け駆けするんじゃないぞ。その酒、先に飲んだら許さないからな」と返す。ルパンは笑顔で去っていく。次元とこの先で落ち合う約束をした上で。その約束を繋ぎ止めるのはルパンが宝よりも大事に抱えた上等な酒と、長年築きあげてきた信頼関係である。次元は、「ルパンといると楽しいから」と長年連れ添ってきた理由をこのエピソードで言葉少なく話している。なんというかこの距離感、バディとして完成されている。お互いに何を言わずとも互いを理解している。二人にとって言葉など野暮なのだ。いつも通りのドタバタ劇の中で、キャストのセリフ一つ一つが、小林清志さん演じる次元に別れを告げているかのような、一抹の寂しさを感じる回だった。来週から次元を演じるのは大塚明夫さん。その交代発表の際「ルパンは俺にとって一生ものの仕事であった。命をかけてきた。我儘を言えば90歳までやっていたかったが残念。何とかかじりついていたかったが無理だった」と語り、後任の大塚明夫さんには「あとは明夫ちゃんに委ねます。頑張ってちょうだい」とバトンを託した。小さい頃から憧れだったニヒルな次元と陽気なルパンのコンビ。僕にもそんなバディや仲間と言える存在が少ないながらも存在する。そいつらの顔を思い浮かべながら、次元さながらにスコッチを注ぎ、小林清志さんの次元に僕は別れを告げた。さらば次元。時代は変わっても、次元大介という男は変わらない。小林清志さん、長年の次元役、お疲れ様でした。

ダンダダン

直感、体感、第六感。ダンダダン。オカルト、SF、ラブコメ、バトル、全部盛り、次に来るマンガ大賞第二位のこの漫画に首ったけ。キャラデザ、絵柄も最高で、ぶっ飛んだストーリーに圧倒的な画力、盛り込まれたネタのセンスも抜群。敵がABBA歌ってる漫画なんておしゃれ過ぎないカ?いや本当面白すぎて、久しぶりに電子版じゃないコミックスを買ってしまった。以前このサイトのポッドキャストで喋ったのだけど、担当編集、林士平(りんしへい)さんががものすごい人。藤本タツキ先生の「チェーンソーマン」然り、ここ数年の面白いなあと思うヒット作にはこの人が関わっている。ポッドキャストではだいぶいい加減な嘘情報をしゃべってしまったので訂正してお詫び申し上げます。台本なしの即興ではテンションで喋っちゃうので本当ダメね。さて『呪術廻戦』、『鬼滅の刃』、『BLEACH』、などなど僕の中での林士平信仰が行きすぎるあまり、自分が面白いと思う漫画全部立ち上げた、もしくは担当してきたのだと思い込んでしまっていたわけだ。正しい情報としては入社当時は『月刊ジャンプ』に配属。のちに『ジャンプSQ.』創刊編集メンバーとなり、『ジャンプ+』へ。『チェンソーマン』 ・『SPY×FAMILY』 ・『HEART GEAR』 ・『ダンダダン』 ・『神のまにまに』など現在担当されており、『青の祓魔師』 ・『ファイアパンチ』 ・『怪物事変』 ・『左ききのエレン』 ・『地獄楽』などを立ち上げた。主にウェブ版ジャンプ『ジャンプ+』から生まれたヒット作の立ち上げに関わり、担当している屋台骨。敏腕編集者なのである。例えるならゲレーロ、タティス、大谷、を育てた名伯楽、のようなものだ。本当に漫画見たいなスペックと実績だと思う。超一流。そんな人がまた新しい伝説を作り上げようとしている。最新エピソード、これ、歴史に残るんじゃない?

地獄楽 コミックス完結&アニメ化決定

賀来ゆうじ原作、ジャンプ+の人気連載作品「地獄楽」。すでにジャンプ+では連載終了していたが4月30日に発売された最新コミックス13巻にてコミックスでも堂々完結を迎えた。不老不死の秘薬を巡り、罪人と処刑人がタッグを組んで、未知の生命体が跋扈する島での決死のサバイバルを描く、ちょいエロちょいグロロマン活劇。王道バトル展開に加え複雑に絡み合うそれぞれの思惑がミステリー要素もあって面白かったわけだが、このたびアニメ化が決定。多様な魅力あふれるキャラクターたちの動く姿はアニメ映えしそう。公式キャラブック「解体新書」も発売されているのでアニメ化前に原作と併せてぜひ。5月14日まで、初日16話無料+毎日1話無料キャンペーンが実施中。合計4巻以上無料になっているのでまとめ読みのチャンス。あらすじ時は江戸時代末期となる頃———。かつて最強の忍として、畏れられた“画眉丸”は抜け忍として囚われていた。そんな中、打ち首執行人を務める“山田浅ェ門佐切”から無罪放免になる為の条件を突きつけられる。その条件とは極楽浄土と噂の地で「不老不死の仙薬」を手に入れること…!!美麗師・賀来ゆうじが描く忍法浪漫活劇いざ開幕!! [JC全13巻発売中]ジャンプ+ 「地獄楽」オフィシャルページ より