Joyner Lucas

via billboard.com/Joyner Lucas On Crafting '(508) 507-2209,' His Competitive Streak & Why He Thinks Logic is 'Corny'

アメリカ・マサチューセッツ州のラッパー、ジョイナー・ルーカスのビデオがバズっている。ラッパーは主観(俺は、俺が、俺の)でラップすることがほとんどなのだけれど、彼はさまざまな人、物、事の視点でラップすることが出来、コンセプチュアルな作品が多いのが特徴だ。時に、100ドル札の視点で人の手を渡り歩く様をラップしたり(OZROSAURUSの08年JUICE収録「いちまんえん」と正に同じである。ちなみに、このオジロのアルバムことオジバムは名盤なのでおすすめ。今聴いてもイイ。)、殺人者と殺される側、実話を基にしたストーリーテリングを披露したりと、PVを含めメッセージ性の強いリリシストなのである。さらに既存のラッパー像、ドラッグやストリッパーとのメイクラブや暴力に対して、悪気はなくとも若者のロールモデルになっていると問題提起し、警鐘を鳴らす。

そんな彼が公開した今回のビデオは、白人男性と黒人男性との視点で描かれた「I’m Not Racist」。私は差別主義者ではないという、今まさにアメリカが抱えるジレンマを描き出した作品。まずは一度チェックしてみてほしい。

Joyner Lucas - I'm Not Racist via YouTube


どんな内容をラップしているかは下記のリンクを参照。HIPHOPライターの渡辺志保さんがblockfm「INSIDE OUT」でこの曲について語った内容を、仕事がTWISTAのラップより早いみやーんさんがまとめてくれている。


僕は英語が出来ない。なので渡辺志保さん始めとした界隈の造詣の深い方々の解説を経て、やっと内容をちゃんと理解できるのだが、ビデオを見てジョイナー、ラップうまい。っていうのが率直な感想だった。ケンドリック・ラマーを始めとした10年代の実力者たちの影に隠れてしまっている印象があるが、その実力は本物だ。ジョイナー・ルーカスについて、その評価や今までの足跡がわかりやすく書かれている記事もぜひ読んでみてほしい。

「あなたのようになりたくない」2010年代トップMCのJoyner Lucasの曲から見る「ロールモデルと心の居場所」 | Playatuner

    2010年代のトップラッパー という議論は世の中で頻繁に行われている。そのなかではケンドリック・ラマー、J. Cole、Joey Bada$$などのラッパーの名前が挙がるであろう。個人的にはJ.I.D.も推しており、彼はPlayatunerフレッシュマンにも含まれている。 http://playatuner.com/2017/06/playatuner-freshman/ Joyner Lucas そんななか、「ずっと誰かを忘れているな...」と感じていた。それがJoyner Lucas(ジョイナー・ルーカス)の存在であった。彼は既に4枚のミックステープをリリースしており、2015年ぐらいから名前を聞いていたのでフレッシュマンの候補から抜けていたのだが、今考えるとフレッシュマンに入れるべきだったと後悔をしている。彼は2010年代のラッパーという括りのなかでは確実にトップレベルであり、今後さらに知名度を上げていくだろう。そんな彼の楽曲から感じ取ったことを紹介したい。 彼のリリックはコンシャスでもあり、ストリートでハードでもある。フッドにて起こる現実を自分の視点に置き換えて伝えることを得意としており、アグレッシヴなラップスタイルをしつつも、非常に考えさせられる内容となっている。そんな彼が2017年にリリースしたミックステープ「508-507-2209」はクリエイティブな楽曲が多く、そのなかでも「Keep it 100」は特にMVを含めてストーリーが鮮明に脳裏をよぎる。100ドル札がどのようにして渡り歩いたかを描く曲のMVは必見だ。 https://www.youtube.com/watch?v=mGdDlQz9WEo     子供とロールモデル そんな彼のヴィジュアルと連動する楽曲たちであるが、そのなかでも今回紹介したいのは「Just Like You」という曲のメッセージである。この曲のテーマは「子供とロールモデルの存在」である。彼はこの曲についてこのように語っている。 子供たちは誰もがヒーローに憧れたり尊敬したりする。本来はその対象は親であるべきだが、もし親じゃない場合は、誰を尊敬して、誰の背中を見て育てばいいのだろうか? https://www.youtube.com/watch?v=6VuuTeZq2uM

Playatuner

最後に、I’m Not Racistビデオのサムネイルのせいでジョイナーがメイクアメリカおじさんのイメージになってしまっているが、記事トップにも写真を載せたように実際はこんな人。むちゃくちゃタフそう。サバイブしてきたからこその、リリックの説得力だね。

via YouTube 

not joyner.これ本人が演じてなくてラップだけ差し変わってるから余計に衝撃的だった。配役がアクションブロンソンとゴーストフェイスキラーだったらもっと一大事だ。