Who is the Strongest?地球上で最も強い男2018

via PRIDE GRANPRIX 2004 FINAL オープニング NicoGame 

マンガ「バキ」シリーズに登場する範馬勇次郎は「地上最強の生物」である。では現実における地上最強の男はだれなのだろうか?アンダーグラウンドまで含めたらとんでもない人材、人外が存在するのかもしれないが、残念ながら知るよしもない。僕の中で現時点での地球上最も強い男=総合格闘技がもっとも巧い男という指標で書いてみる。

かつて、日本のPRIDEは世界最高峰の格闘エンターテイメントとして一世を風靡した。世界中の強豪がPRIDEのリングに集結。中でも、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとエメリヤー・エンコ・ヒョードルのヘビー級タイトルマッチは「60億分の1人類最強決定戦」などと形容される名カードであった。(立木文彦の神ナレーションで展開されるオーバーキルすぎる演出の煽りVTRも風物詩のひとつ)PRIDE 史上最高の煽りVとされる2004年グランプリのオープニング映像は今も語り継がれる伝説である。リアルタイムでテレビで見ていて、鳥肌が立った。BGM:サラブライトマン/Time To Say Goodbye

PRIDEが解体されその多くは海を渡り、UFCへと戦いの場を移した。名実ともに世界最大の総合格闘興行団体である。人類最強と思っていたエメリヤー・エンコ・ヒョードルでさえ、ヘビー級のベルトを巻くことは叶わなかった。PRIDEの実力者たちが手こずるその大きな要因と言われるのは。四角いリングとオクタゴンと呼ばれる8角形の金網リングの違いといわれる。とても戦略的な頭脳を要するのがオクタゴンなのだ。

現在、日本で開催されているPRIDEの正統後継的存在RIZINは中軽量級のスピード感のある選手が中心だ。日本人にフィットした階級とも言える。神童・那須川天心やUFCでその頭角を顕し、今なおアメリカン・トップ・チームに所属する堀口恭司が圧倒的な強さで人気を集めている。

昨年、フロイド・メイウェザー・ジュニアとボクシングで対戦したコナー・マクレガーはそのキャラクター、パフォーマンス、強さで異例ともいえる人気を獲得しスターダムにのしあがった選手だ。UFC中軽量級の人気を押し上げた。当初フェザー級から階級を上げてライト級へ。UFC史上初、フェザー級のベルトを擁したまま二階級制覇を達成した。ボクシングセンスにおいては拳を交えた無敗のボクサーメイウェザーも一目置くほどだ。当時のパウンド・フォー・パウンド(異なる階級の選手とのスピード、パワー、戦績などのデータ比較)最強と言われたジョゼ・アルドとの因縁を13秒KOで断ち切ったパンチの速さは圧巻である。余談だが今最も個人的に見たいカードは、コナーマクレガー VS 那須川天心だ。(階級的にはもちろん、団体も別なので現実でのマッチアップは不可能。)

Jose Aldo vs Connor McGregor Full Fight via YouTube


ちなみに日本人の現役ファイターでは最強クラスの堀口恭司は、UFCで一番軽いフライ級に所属していた。チャンピオンのデメトリアス・ジョンソン(通称DJ/マイティマウス)はUFCパウンド・フォー・パウンドランキング一位の怪物。堀口恭司すら勝つことが出来なかった。しかし、そんな怪物とフルラウンド目前(UFCのタイトルマッチは5ラウンド制となる)まで戦い、UFCのベルトにあと一歩のところまで手をかけた唯一無二の日本人。(ただその一歩が遠く、強大すぎる存在なのだ。)いまだかつてこれほどの活躍を見せてくれた日本人選手は彼以外にはいない。DJ以外には負けていない戦績を考えると、個人的にはUFCに戻ってリベンジマッチをしてほしいのが筆者の本音である。日本の舞台ではRIZINのベルトを大晦日手にした。当然ながら現状無敵である。どうにかDJとリマッチ組めないでしょうか高田本部長。(と、UFC主催のデイナ・ホワイトさん)

via 【UFC】期間限定! 過去試合映像:デメトリアス・ジョンソン vs. 堀口恭司 YouTube


さて、UFCで今一番重くて強い男はだれか?

ヘビー級王者はスティペ・ミオシッチである。昨日のUFC220にて、ヘビー級1位“ザ・プレデター”フランシス・ガヌーとタイトルマッチを行った。2018年版人類最強決定戦と言えるカードだ。

このガヌーは、おそらくスタンディングでの殴り合いに限定すれば地上最強かもしれない。下記の動画をみてもらえればその恐ろしさが分かるだろう。筋密度が人よりも高いという筋金入りのフィジカルモンスターである。相手はPRIDEやK-1で鋼の肉体と豪腕を武器に暴れていたアリスター・オーフレイム。現在ヘビー級2位。昨年行われたUFC218怪物同士の一戦は衝撃的なものとなった。

via UFC 218 アリスター・オーフレイムVSフランシス・ガヌー ハイライト YouTube

ガヌーを迎え打ったスティペ・ミオシッチ。“強力型戦闘隊”のタトゥーが特徴の王者はガヌーの豪腕を文字通りの“総合格闘技”で封じ、フルラウンドを戦い判定勝利。1発当たれば危ないといった場面を切り抜け、卓越したレスリング、グラップリング能力で優れたミオシッチに軍配が上がった。このミオシッチはパンチも相当のもの。ガヌーのような見るからに強力な派手さはないが、相手を撃ち抜くコンパクトで精密なストレートを持っている。殴ってよし、組んでよし、投げてよし、寝てよし。体格にも恵まれ、総合格闘家として完成系に近い。最強説にはまだまだ諸説あるが安定しないと言われる階級で、ガヌー戦までに4試合連続1RKOで勝利を収めている。そしてドスサントスもヴェヴドゥムもヴェラスケスも成し得なかった、UFC史上初のヘビー級王者3度防衛を成し遂げたのだ。ちなみに消防士と格闘家を掛け持ちしているというから驚きである。ステロイドやドーピングの匂いもしないナチュラルさも好印象。PRIDEで絶対的な強さを誇ったヒョードルを彷彿とさせる、ヘビー級の絶対王者ミオシッチの快進撃はどこまで続くのだろう。年齢的には35歳と選手としての時間は限られているようにも思える。若くて強い新星の登場にも期待したい。

Stipe Miocic - Francis Ngannou | UFC 220 | Highlights via YouTube


Stipe Miocic Highlights via YouTube


PRIDE 史上最も壮絶な殴り合いについて紹介した記事もぜひ見てほしい。

(試合の動画リンクが死んじゃってるのでYouTubeで検索してみてくれ)