地味にスゴイ
久しぶりに民放のテレビドラマを見ている。日テレ系の水曜日ドラマ、「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」だ。主人公はシン•ガッズィーラでカヨーコを演じた石原さとみさん。演じる河野悦子(こうのえつこ)a.k.a.コーエツはファッションエディターを目指しており、憧れのLASSYが入っている出版社に入れたものの、LASSY編集部ではなく校閲部に配属されることになってしまう。8年間毎年、ファッションモンスタースレスレの洋服に身を包んで面接に挑むコーエツ。情熱をぶつけ続けやっとの思いで中途採用を勝ち取るが、お約束のように編集部では採用されず校閲部へ(^ν^)
校閲部部長は岸谷ゴローさんが演じる。コーエツの秘めたる校閲スキルを見出した元文芸編集部のベテラン校閲者だ。(本人には「名前が最適正。校閲頑張れば編集になれるヨ!」とコーエツを丸め込んだが真意のほどはいかに。)高校時代の後輩でありLASSY編集部の森尾を本田翼さん、嫌みだが根は良い奴そうな文藝部編集者、貝塚を青木崇高さんと、脇を固める俳優のキャスティングも豪華だ。
「これが校閲だと!?上等な料理にハチミツをぶちまけるごとき思想ッッ!」なんていう批判も出ているという記事を目にしたが、ドラマだから視聴者を楽しませてナンボである。雑誌のようなフォントのテロップ挿入や、場面転換のアイキャッチが楽しい。本来、陽の目が当たらない校閲作業を、コミカルかつキャッチーに描いている。実際、リアルな校閲など地味過ぎてドラマとして成立しないだろう。僕自身、校正•校閲があるからこそ、書籍は書籍足り得ることを経験から知った。(現在は出版業界の不振で経費削減のために校閲を廃止している、なんてこともあるようだが。←出典が明らかでない未確認の事例には未カクと赤字が入ったりする。)
きちんと読者に正しい文章を読んでもらうために、著者や編集者の影で途方もない努力をしている人がいるのだ。校正・校閲を知るきっかけとしてうってつけのドラマだと思う。ちなみに最初の校正を初校、2回目の校正を二校とか再校、3回目の校正は、三校または念校と呼ばれ、僕の職場では最低でも念校までして校了、入稿となる。さらに並行して取材先の校正・校閲を行う。取材メモから校正原稿になるまでにも、添削が入って2回、3回と直している。脱稿から校了までの道のりは長く険しいのだ。
河野悦子a.k.a.コーエツの今後の活躍に期待しかない。
まとめて観たい、繰り返し観たいという方はhuluを。
text/SNYZY・PINKS
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