サバイバー:宿命の大統領

キーファ・サザーランドほど、続きが観たくなる俳優はいない。僕が海外ドラマにドハマリしたきっかけ的作品「24」。不死身の捜査官であり、愛国心が生んだ怪物ジャック・バウアーを演じたキーファが今度は大統領を演じる。ともなれば観るしかないだろう。
ステイツには「指定生存者」なる継承システムがある。議会での一般教書演説時、大統領が不測の事態に陥った場合、予め指定された者が大統領になって国政を運営する予備電力的な人間が存在するのだ。そこにフォーカスしたのがサバイバー:宿命の大統領(原題:Designated Surviver)である。

あらすじと概要

トム・カークマンは住宅都市開発局長というポストで閣僚をしていた。本人にはさほど野心もなくホワイトハウスでは下っぱ扱いされながらも、身を粉にして大統領に仕えていた。しかし、努力虚しく左遷の通達が。もうホワイトハウスでの仕事も終わりか。意気消沈しながらも新天地への転勤を決意したトム。訳あってのんきにカレッジパーカーとジーンズに身を包みビールとナッツをつまみながら、大統領による一般教書演説を中継で観ていたその時、未曾有の国家危機がステイツを襲う。前日「指定生存者」にならないかという打診を受け、2つ返事で引き受けていたトムはその瞬間から大統領に。本人も現実を受け入れられないまま、たくさんの問題が秒で降りかかってくる展開は「24」を彷彿とさせる。しかし、ジャック・バウアーのようにはいかず空回り。裏目ってしまい事態はどんどん複雑になる。ジャック・バウアーは「突入」「拷問」「射殺」、たまにスペシャルコマンド「潜入」の4つで乗り切ったが、トムにはたくさんの選択肢が与えられ、頭を抱えながらも懸命に立ち向かっていく姿が描かれる。冴えないし実績も人望もない、支持率には目も当てられない。けれど何か魅力的な人柄が、周囲の人間にも波及しトムの「らしさ」がホワイトハウスを動かしていく。テロリストとの戦い、犯人は誰なのか、陰謀の真相は。といったサザーランド要素がふんだんに盛り込まれ、キーファ度数の高い政治サスペンスに仕上がっている。

日本国内では年末からNETFLIX で独占配信中。
「契約してないだって?なにをやっているんだ!とっとと契約しろ!さもないとお前の頭を撃ち抜く!!」とジャック・バウアーなら未契約者に憤慨するに違いない。一刻も早い契約を祈る。