WELLCOME BACK


昨年9月。SEEDAのカムバックアルバム「8SEEDS」がアーティスト支援サイト「CREATIVE PLATFORM」を通じ会員限定でリリースされた。アルバムから先月末、「COME BACK」のPVが公開。プロデュースはYENTOWNのChaki Zuluという最強布陣。おかえりなさい。


バイリンガルフロウ、卓越したスキル、ストリートの代弁者、SEEDAを形容する言葉はいくらでも見つかる。だが、最大の魅力は誰よりも真っ直ぐに音楽が好きなんだと感じさせてくれることだ。USの新譜も欠かさずチェックしているし、早い。幅の広い視野と感性で、当時から革新的な組合せのフィーチャリングワークを実現し、ヘッズを喜ばせてくれた。

セレクトする目利きならぬ耳の良さは、SEEDAとDJ ISSOのミックステープ「CONCRETE GREEN」シリーズにも反映されている。現在第一線で活躍するヒップホップアーティストたちが、見向きもされなかったときからSEEDAは、可能性の種に光りを当てていたのだ。シーンに与えた功績は大きい。このシリーズが東京だけでなく全国各地のアンダーグラウンドアーティストをフックアップした。僕自身、このミックステープで数々の素晴らしい楽曲とアーティストを知ることができたのだから。

そんな「CONCRETE GREEN」によって才能を見出された1人、NORIKIYOは原点回帰とも言える曲を発表した。自らのルーツや経緯を曲で語っている。

俺はrepするCCG(CONCRETE GREEN)の生き残り
あれが無けりゃ今もきっと道のゴミ
あれはclassic,”Rebuild””花と雨”

SEEDA(そしてSCARSとSDP)との関係性、その影響力が伺えるラインだ。「花と雨」とは、SEEDAの亡き姉を偲んだ曲のタイトルであり、アルバムのタイトルである。まさしく、日本のヒップホップシーンのクラシックアルバムとして2000年代に燦然と輝く1枚だ。

シーンから姿を消してしまったアーティストも多い中、この2人が最前線に文字通りCOME BACKしてくれたことは素直に嬉しい。

年末のフリースタイルダンジョンAbema特番でのLIVEではAKLOのステージの後、SEEDA はYENTOWN/Killaの若手筆頭、KZMと共演した。続けて花と雨も披露。フリースタイルダンジョンを観ている10代のキッズたちからすれば、知らない人も多いのかもしれない。しかしSEEDAから放たれるバイブスと愛を感じ取ることができたはずだ。かつて自ら不定職者とシニカルに名乗った生粋のヒップホップ愛好家のカムバックに、少なくとも僕は胸を打たれた。