おもちゃのイチノセ
a.k.a.「ちゃイチ」は地元のおもちゃ屋さんである。ECサイトでのネットショッピングが主流となった今、ゲームショップやおもちゃ屋さんはほとんどなくなってしまった。カードショップ、プラモデルなどの専門店を含めても知る限り、片手で足りてしまう。トイザらすでさえ撤退する娯楽砂漠のこの土地で、長い歴史を誇るおもちゃ屋さんが「おもちゃのイチノセ」だ。僕はこのおもちゃ屋さんのおもちゃで育ち、ゲームの楽しみ方を覚えた。時にはデュエリストに。時にはハイパーヨーヨーを駆るスピナーに。なんにだってなれた場所。当時ニンテンドー他、メーカー公式の認定店だったこともあり、店舗独自のディスカウントはなくほぼプロパー価格だが、オフィシャル商品を大量の在庫力で安定供給しているのが魅力だった。ブームにならった模倣品の取り扱いもなく、つかまされる心配もない地域優良店なのである。
10年か15年振りか。久々に足を運んでみると、かつての面影を残しつつ改装されていた。しかし、店員さんは幼少期に通っていたあの頃のままだ。僕は実家から掘り出したハイパーヨーヨーのストリングを探していた。棚に無かったのでスタッフさんに声をかけるとレジカウンター棚に商品があった。「ヨーヨー名人の方ですか?」そんな風にいきなり聞かれて、「まさか。ただの懐古厨ですよ」と笑って返す。そんなことから話しが弾み、せっかくなので話しを聞いた。
時期によっては近所のモデラー、タナカさんの展示をイチノセで見られる。
ドラクエXIが発売して間もなくだったが、まだ在庫ありますとのことだった。DSもPSも持っていないのにソフトだけ買いそうになる事案が発生。在庫ありますの反射って恐い。
改装は今から6年前の2011年。2フロアで女の子用玩具、男の子用玩具と分けられていたが1フロアに統一。店舗の中央を境に陳列される構成になった。バリアフリーに対応し通路を広く取ったことにより、商品数は減らさざるを得なかったようだ。2階はデュエルモンスターズ地区大会などイベント用スペースになっているとのこと。1階階段横、かつてはゲーム筐体もあった場所でもデュエルが出来る。
ここで、今まで数々の名デュエルが生まれてきたのだ。僕もかつてここに出入りしていた。今でも顔を合わせる高校の同級生に、当時全国三位になった怪物がいるがホームは「ちゃイチ」だった。
お店正面から入って右手側が女の子向けホビー。
犬が乗ったミニ四駆。いろいろ思う事はあるがTAMIYAだから目を瞑ろう。
ニンテンドー商品に強いが、さすがにswichは品切中。
唐突に現れるジターリングは大幅に値引きされていた。
改装が終わった二ヶ月後、東日本大震災が発生。「商品を手が届く範囲で必死に支えました」と語る。幸い、僕らの地域では震源から離れていて大きな被害はなかったので命に別状はなかったものの、身を隠すよりも、おもちゃを支えることを優先するスタッフの情熱が垣間見えるエピソードである。
当時のお店のボス的存在、おじさんおばさんコンビはすでに亡くなってしまっていた。自分が思うよりもずっと早く長い時間が過ぎ去ってしまっていたようだ。その代わり、当時から現役バリバリだったお兄さんは今でもお店に立っているという。この日はたまたま休みなので会えなかったが、僕は嬉しくなった。会計の際、ヨーヨーのストリングを一個おまけしてくれた。
今でも、ニンテンドー商品には強いため、探しているものがあれば「ちゃイチ」を頼るといいだろう。僕は去り際にミニスーパーファミコンマジでほしいと懇願してからお店を後にした。また遊びに行こうと思った。
元気そうでなによりな二人。照れながらも撮影に応じてくれた。ミニスーファミ、なんとかマジでお願いします。←
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