Supreme Family Tree by HIGHSNOBIETY
via HIGHSNOBIETY
言わずもがなSupremeのボックスロゴはストリートファッションのリビングレジェンドである。前置きをしておくと、僕はスケーターではないが、だからこそスケーターに対して畏敬の念を抱き、Supremeブランド自体もリスペクトしている。(身に付けることは少ないが、Supremeのスケートビデオ、アートワークを含めたクリエイションは本当に素晴らしいと思う。)
この「ボックスロゴ」を求めて、人々は何日も店に並び、定価の何倍もする価格で取引がされる。ちなみに、オフィシャルで買うとボックスロゴのフーディは税込28000円ほど。オフィシャルで買える人なんかほとんどいない。オンラインはボットによる一斉買い付け、店頭では組織ぐるみのバイヤーたちが買い占める。転売目的以外の、本当に着たい人が手に入れられるのは、そういった一握りの人たちが市場にアイテムを解放してからだ。あとはもうSupremeで働くか、Supremeのサポートを受けられるようなスケーターもしくは文化人、ファッションアイコンになって交流する他ないだろう。ストリートブランドの世界的な躍進は喜ばしいことだが、人の手によっておよそブランドのルーツとはかけ離れたその構造はクソだ。
もしオフィシャルで手に入れられず、1000%信頼できるバイヤー以外でボックスロゴのアイテムを5万円以下で所有しているとしたら、それは99%クソ中のクソのコピー品なのでとっととリサイクルステーションに持って行った方が地球のためだ。ブートと分かっている上で着るというなら話しは別だが、気は確かか?
via:memecrunch.com
Supremeのスタッフは生粋のスケーターたち。都内のショップに並んでいる人を見ると老若男女多様な人たちがいる。それを見てスケーターたちは鼻で笑っているなんて都市伝説も耳にする。ヴェトモンのパチモンのただでかいだけで品のかけらもないMA-1に、土星の輪っかかと思うほどツバが広いハット、血が止まって壊死するんじゃないかってくらいパツパツのスキニーパンツ、ピッペン本人から借りてきたかのようなバランス感のエアモアアップテンポを履く。日本で大きなショッピングモールに行けばクローンのように溢れているスタイルだ。その姿を見れば仕方のないことなのかもしれない。
Supremeの魅力とはなんだろうか。それはスケートブランド特有の卓越したサンプリングセンスと、スケートショップのオリジナルアイテムとは到底思えないほど出来が良い仕立てであり、日本では90年代の裏原宿ブームを支え、以来不動の人気ブランドだ。ボックスロゴのTシャツが数万円で売られているなんていうことはこの頃からあった話しで、雑誌Street Jackではプレ値で価格が記載されており当時中学生だった僕はそれを見て戦慄し、買えないことを非常に悔やんだ。定価は6800円なのにね。
シーズン毎にブランドが敬意を表する人物やアーティストに焦点を当てカプセルコレクションをリリースするが、リアルタイムで知っている人は着ている人の中に何%いるだろう?NASのことくらいはもちろん知った上で着ているものと信じたい。独立する者も多いSupremeのコアメンバーはおそらく30代後半から40代。その人たちが敬意を表するアーティストとなると80年代〜90年代となるわけで、必然的にメインの購買層である20代とはミスマッチが生まれてしまう。だからか、マーク・ゴンザレスとかGoldieとか、Supremeおじさんことランス・ウォルシュなどSupremeと同世代から上のOGたちが着ているとなんだかしっくりくる。というか安心する。何せ説得力が違う。若い世代はそういったリアルタイム世代の人に倣い、リアルタイム世代の人は若いSupremeフォロワーの人のお手本としてぜひとも突き詰めて着てほしいとも思う。
via:HIGHSNOBIETY
via:Hypebeast
ご存じの通りFutulaフォントのボックスロゴ自体がパロディの産物だ。芸術家バーバラ・クルーガーの作品をSupremeがパロディしたものである。だからこそ、ボックスロゴはイケているのだ。メッセージ性の高いアート作品をスケーターマナーに落とし込み、ストリートのステイタスにしたのだから。
ボックスロゴにまつわるヒストリーは下記リンクを参照のこと。
via:artbook eureka online store Barbara Kruger
ことストリートブランドとそれにまつわるファッションにおいてはその記号性をいかにミックスして遊ぶか、ナシをアリにする足し算というのが非常に重要なファクターだと個人的には思っている。記号性というのはロゴ、グラフィック、ブランド自体のバックボーンだ。今の若い世代は服そのものの出来が良ければそんな蘊蓄(うんちく)含蓄(がんちく)は必要ないという服選びが主流であるという。卓越したセンスを持つファッショニスタは無知でも偶然の産物として、または積み重ねられた知識として打算的に最高なミックススタイルを生むことができるが、それは選ばれし者に許された特権、いわば才能である。努力の余地があるとすればとてつもない数の服、ブランドを見て、袖を通さなければその感覚は養えない。僕なんかには到底できない芸当である。したがって僕を含めた「持たざる者」は「知ること」自体が非常に大切となってくる。今こそ、年中社会現象を巻き起こしているモンスターブランドを振り返ってみてはどうだろう。最適な記事をファッションメディア「HIGHSNOBIETY」が配信している。Supremeの基盤となったブランドやセレクトショップ、Supremeから派生したブランドやスケーター、人物まで掘り下げて丁寧に紹介している非常に画期的かつ素晴らしい企画記事である。洋服は洋服としての出来が全て。クールか否か。限りなく純度を高めればそれだけが洋服本来の価値だ。知識に縛られる必要はなく自由であるが、知識が時に自分の洋服を着ることや洋服選びをもっと楽しくしてくれることも間違いないのである。
Lサイズ 残り1点 税込810,000円。
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